空き家がまちのシェアキッチン&シェルターに。複合型コミュニティスペース「オナガハウス」

2022年4月、東京都東久留米市に、空き家を活用したシェアキッチン&シェルター「オナガハウス」が完成しました。このプロジェクトは、空き家や貧困問題に取り組むソーシャルビジネスRenovate Japanと空き家オーナーと焙煎士によるまちづくりチームN’estがタッグを組み、2021年10月よりスタートしたものです。Renovate Japanは、すでに2軒の空き物件の改修に取り組んでおり、この「オナガハウス」が3軒目となります。

Renovate Japan とは?

Renovate Japanは、「誰もが生きやすい社会」を目指し、「貧困」「差別」「空き家」3つの社会課題解決に取り組む会社です。その課題の一つ「空き家」を活用し、住む場所や仕事に困っている人たちをつなぐ事業を運営しています。「家が空いている」のに「家が足りていない」という日本社会の矛盾に着目し、空き家をシェアハウスに改修する過程に、家と仕事に困っている方を住み込みで雇い入れ、次のステップへとシームレスにサポートします。

■オナガハウスって?

Renovate Japanによる3軒目の空き家改修プロジェクトで誕生した複合型コミュニティスペース。閉鎖的だった空き家を地域に開かれた空間にしたいと、誰もが失敗を恐れずに挑戦できる「巣」となるような場所です。大人も子どもも、好奇心を忘れず、小さな挑戦や失敗を積み重ねながら、安心して話せるような場づくりを目指します。

どんな挑戦も応援。地域に愛されるやさしい場所

今回、Renovate Japan代表の甲斐隆之さん、オナガハウスでコーヒーを通してコミュニティづくりに関わる焙煎士の倉持昌弘さんにお話を伺いました。

■なぜ空き家と貧困問題を掛け合わせるビジネスモデルにたどり着いたのでしょうか?

甲斐さん:私自身、貧困問題には課題感を抱いていました。日本では、貧困で餓死してしまうということは少ないものの、何らかの理由で家や仕事を失い、悪循環のなかでギリギリの生活をしている人は多くいます。しかし、公的な財源で社会資源をつくると、どうしても全員を平等に扱うという画一性に縛られ、個別のニーズを大切にできません。相部屋のシェルターも多い中、切羽詰まっている人たちの精神状態を考えると、相部屋という環境も良い環境とは言えません。個別性を大切にして、シェルターの質をあげる必要があると考えていました。

そこで、リソースとして使い道に困っている空き家に着目。空き家は改修済みになると、市場価値が生まれます。しかし、その改修期間を活用すれば、困っている人に家と仕事を生み出すことができると考えました。完成したら物件を市場に出すことで、マネタイズできるという仕組みになっています。

■リノベーション作業はどのように実施しているのですか?

甲斐さん:表層リフォームと呼ばれるもので、壁紙や塗装などを施します。高度なスキルがない素人でも安全にDIYできるので、やったことがない人でも「自分にもできるかも」と思ってもらえるメリットがあります。僕たちは、住み込みで空き家の改修に取り組んでくれる人のことを「リノベーター」と呼んでいるのですが、実はそのリノベーターは、僕たち含めて初めはみんな初心者でした。しかし、だからこそ自然に地域の人たちに教えてもらいながら、みんなで学んで実践することができ、地域と繋がるきっかけにもなったなと感じています。

現在は、DIYのノウハウも蓄積され、お互いに教え合ったり、知らないことは一緒に学んだりして進んでいますね。リノベーターにとっても、作業を通して地域の人と関わることで、社会貢献していることを実感してもらえるのではないかと思います。

オナガハウスはどのようなコンセプトや想いが詰まった場所なのでしょうか?

倉持さん:この場所の大きなコンセプトは、「もっと自分の人生を楽しもうよ!」ということ。

コロナ禍で、今日と同じ明日が来るとは限らない「変化の時代」になりました。さらに昔に比べ、他人にも自分にも無関心な人が増えていると思います。いろんなことを我慢したり、やりたいことがあるのに諦めたり。いつ何があるかわからないからこそ、本当の自分を生きることが大切だと思うんです。誰もが安心して、やりたいことや自分の気持ちを話せ、ワクワクするような未来を子どもたちに渡してあげたい。そして、うつむく大人たちの心にも火をつけて、少しでも上を向いてほしいなという思いがあります。

実は、オナガハウスの「オナガ」とは、東久留米市のシンボルの鳥なんです。この鳥は、青い羽を持ち、仲間意識が強くて、力を合わせて事に当たる習性がある。私たちも、SNSやオンラインで簡単に人と繋がれる時代だからこそ、身近や地域にいる人たちを大切にしたい。一緒に小さな挑戦をしながら進んでいきたいという想いがあったので、コンセプトにぴったりだなと感じ、この名前を付けました。

焙煎士である倉持さんがコミュニティに関わり続ける理由は何でしょうか?

倉持さん:私のコーヒーは、手焼きの器でじっくり焙煎します。生豆の色がだんだんと変わって、香りも変化する。そこからコミュニケーションが生まれたりもするんですよね。五感で出会い繋がった人は、より強く繋がれるので、焙煎士であることは、私のコミュニケーションツールの一つなんです。

そして、私には自閉症の息子がおり、親亡き後の居場所づくりをしたいというのが、私がオナガハウスを始めた最初の起点になっています。私は、どんな人もみんな隠れた才能を持っていると思っていて、一人ひとりにその出番を作りたいんです。

地域で生きるためには「ワーク=仕事」「ライフ=地域で見守る目」「コミュニティ=出会いの場」の3つの輪が重なっている必要がある。障害や貧困に関わらず、いろんな人が自然に出会う場所があれば、もっと地域から愛される場になるのではないかと思っています。

これからの時代は、今まで関わり合いがあまりなかった“遠い”人たち同士が出会って、新しい考えが生まれる場が求められているんじゃないかなと感じていますね。大人も子どもも、ここに来る人みんなが才能を発揮でき、好奇心を生み出す場所にしたいです。

■今後の展望をお聞かせください。

倉持さん:まだまだこれからですが、「〇〇したいけどできない」を解消し、挑戦できる空間にしていきたいです。私自身もこうして挑戦することで、視野や繋がりも広がっていきました。地域の人一人ひとりが先生のようにお互い教え合い、困りごとを持つ人のご家族や本人が社会の一員として幸せに生きていける場所にしていきたいですね。

甲斐さん:いろんな人が集まって、地域に愛される場所にしたいと思っています。私自身も、Renovate Japanとしてオナガハウスで何か企画をできたらいいなと検討中です。私たちの大きなテーマは、「家も人生も社会も立て直していきたい」という想いがあるので、この場所を小さな挑戦の場所や例え失敗したとしても立て直しの場としても使ってもらえたら嬉しいです。何より、自分の存在価値を信じられ、やさしい場所になっていったらいいなと思っています。

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コロナ禍でさまざまなことが変化し、生きづらさや閉塞感を感じる人も増えている中、チャレンジすることを諦めてしまう人も多いかもしれません。
しかし、この場所なら、どんなに小さな「やってみたい」もやさしく背中を押し、失敗したとしてもやさしく包み込んで、また次へと進んでいける。そんな空気感が感じられます。
オナガハウスから始まる新しいチャレンジがとても楽しみです。

興味がある方、協力したい方は、Renovate Japan HPを訪れてみてください。

【Renovate Japan 概要】

所在地:東京都国分寺市高木町2-3-35

HP:https://www.renovatejapan.com/

【オナガハウス 概要】

所在地:東京都東久留米市本町4-2-1

HP:https://onaga-houe.jimdofree.com/

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