新たな旅のスタイルとしての福岡型ワーケーションを考える

2021年11月に2回に分けて、観光庁実施の「新たな旅のスタイル」プロジェクトにブロックチェーンロック株式会社として福岡でのワーケーションに参加してきました。

この観光庁が主導する本プロジェクトの趣旨は1.ワーケーションを制度化したい企業と、2.ワーケーション需要を誘致したい地方自治体をマッチングし、実証プロジェクトを通して、実施企業側、受け入れ自治体側双方のニーズや課題、また、就業規則等法令関連も含めた制度面での課題も洗い出すというものです。また、同時に該当都市でのワーケーションの魅力をPRするという目的も含まれています。

特に贅沢をする気はなかったのですが、その地域の魅力をふんだんに楽しむという視点で考えると、プチ贅沢な出張となりました。この企画を全力でサポート頂いた受け入れ側の福岡観光コンベンションビューロー様及び、福岡市の皆様には深く感謝申し上げます。

福岡型ワーケーション

さて、この福岡でのワーケーションのコンセプトは「福岡型ワーケーション」とのことです。その意味するところは、通常ワーケーションというとリゾートでの仕事等を思い浮かべるのですが、リゾートではない、あえて都心でワーケーションをすることによりメリットを見出してもらうという趣旨とのこと。

実際にはひとことで福岡といっても、天神をはじめとする都心から、今回始めて訪れた志賀島のようにわずか30分でリゾート気分も味わえる場所も多数あります。そういった福岡の新しい一面を知ることが出来たのは大きな幸運でした。

さて、この福岡型のワーケーションの企画段階で当社もいろいろと、「働く」環境という意味での期待するところをお願いさせて頂きました。当社も様々な空間ビジネスをされている施設オーナー様とお仕事をさせて頂いております。そのような中でもレンタルオフィス、コワーキングスペースの運営事業者様はそれぞれに、「働く環境」といったものに注力をして投資をされています。そのような知見から、当社がお願いさせていただいたのは、下記の3点です。

1.オフィスチェアーがあること

2.高速回線があること

3.リフレッシュできるコーヒーがあること

いかがですか?皆様も仕事する上で、特に在宅ワークなどをやる上で、いいチェアーが欲しくなったり、回線を新規契約されたりといろいろな投資があったと思います。今回、ワーケーションという形で1週間の滞在ですが、滞在期間中の執務時間は本当に効率よくやりたいという思いがあり、わがままを言わせていただきました。

このような視点で今回の滞在を振り返ると、一泊目のUnplan Fukuoka様は、偶然に弊社KEYVOXサービスのお客様であったわけですが、ドミトリー形式のベッドもしくは個室、また滞在者が自由に使える巨大なキッチンやフリースペースがあり、仕事をするにはほぼ困りません。幸い、今回の執務スペースはそのUnplanさんではなく、別途+TAP様というコワーキングスペースをご用意いただきました。地元の広告、不動産業等手広くやられている事業者様のスペースだけあって、かなり洗練されています。

回線も普通に250Mbpsとかでており感動すらします。極めつけはMAXHUBという巨大電子黒板的タッチパネルで、触るだけで簡単にZoomに参加できます。東京にいるのとほぼ変わらないかむしろ良い環境で会議が可能でした。

高速回線があればいいということでもなく、1.グループで1つの会議に参加する場合はZoom設備がある会議室があること、2.個別に別々の会議に同時間に参加する場合は、個室ブースが重要だとつくづく感じました。音声が聞き取りづらかったり、周りの人に気兼ねして小声で話さなければいけなかったり、そういったちょっとしたストレスが少しずつたまり、結果として生産性が上がらないということに陥りがちです。是非そういった、Zoom環境にも注意して施設を選ぶべきだと思います。

個人的な話ですが、私はコーヒーには少々興味があって、「あ、美味しい」と思うコーヒーに出会うとなぜだか1日がハッピーになります。今回の行程ではUnplanさんの朝食コーヒーがテンションが上がる美味しさでした。

後半は、志賀島、西戸崎等の離島エリアで仕事をしました。何より景色がいいので、すごく仕事がはかどる気がします。夜は満帆荘という旅館でで簡単に海鮮バーベキューを楽しめます。女将さんの人柄も素敵で、何というか、すごく心が豊かになった気になります。一期一会のこうした小さな出会い一つ一つに深く感謝の念をいだきました。

満帆荘の素敵な女将さんと

さて、離島エリアで少し困ったのが、1.回線が遅い、2.コーヒーがないということでした。回線に関しては、自分は楽天出身なので楽天モバイルが福岡でも頑張っており、楽天モバイル自社回線に繋ぎっぱなしでなんとか乗り越えましたが、容量プランが少ない方には少しつらいかもしれません。三木谷さんに感謝です。

コーヒーに関しては、キッチンまでいけば何か作ってもらえるだろうと思い、お願いしにあがりましたが、そのようなものはないとのこと、、どうしてもコーヒーで仕事モードに心身を入れ替えている身としては少し、しまりがない1日の始まりという点が課題でした。このようなことを予期して、次回はお気に入りのインスタントのコーヒーでも持ち込もうと思います。

最終日は地域の課題に貢献という意味でのSDGsワークショップに参加させて頂きました。

我々もブロックチェーンという技術を扱っているので、ネットワーク型の経済で地域経済を活性化したいという高い目標をもっています。特にテクノロジーをやっているとどうしてもテクノロジーで先走って誰も使わないものを作ってしまったりします。逆に地方自治体側としては、地域の課題にテクノロジーが役立つという視点はありつつも、公共組織であるがゆえに、ひとつのソリューションを推すというのは難しい状況のようです。とはいえ、この両サイドから課題を考えるという試みはもっと数を増やせば、いいイノベーションが生まれると思われます。

第一回ワーケーション動画

硬い話が続いたので、少し福岡でのバケーションの醍醐味をトップ5という形でお届けしたいと思います。

5位.美味しい食事

福岡型ワーケーション

福岡は何を食べても美味しいです。普通に場所だけ変えて個別に仕事をして、18時に切り上げてチームで食事に行く。これだけを3日ほどやれっても結構楽しいです。是非お試しください。もし読者の皆様が経営者の方なら、楽しく話す社員を見て、来てよかったと思うはずです。

4位.温泉

今回志賀島に長く泊まったのですが、志賀島の休暇村には温泉があります。根を詰めて仕事をして、ふと疲れたときに、例えばそれが午後4時だったとして、歩いて1分のところに温泉があったらどうですか?16時から温泉とか最高すぎませんか?私は1日4回入りました。

休暇村志賀島

3位.海の中道海浜公園

福岡型ワーケーション

この壮大な公園は博多湾と玄界灘のに挟まれた大きな自然の営みと人間の小ささを強く感じさせてくれる場所です。たかが公園めぐりと思われるかも知れませんが、電動キックボードで体いっぱいに風を浴びて爽快に走ると、心が綺麗に洗われます。玄界灘の激しい波を見て人間の小ささを感じ、そこに漂着する海洋ゴミを拾って、地球環境を考える。東京にいては気づかない何か大事なものを教わるでしょう。

海の中道海浜公園

2位.釣り

福岡型ワーケーション

釣り?そうです。釣りです。博多湾にボートを出してルアーで釣ります。船長さんが確実に魚が釣れるスポットまで連れて行ってくれます。確実に魚がいても、私みたいに釣れない人もいますのでそれはあしからず。もし、家族を連れてワーケーションに来ていて、仕事後に、「ちょっと船で釣りに行こうか?」そして、子供と楽しく魚を釣って、旅館の板前さんにさばいてもらう。それは忘れられない思い出になるはずです。

1位.自転車

福岡型ワーケーション
筆者(右)潮見台頂上にて

これは体力的に向き不向きがあるかもしれません。でも、もし自転車に毎日乗っていて、それなりに健脚に自信がある方、もしくは自転車でなくともいつもジムでエクセサイズを定常的にやっているならば志賀島での自転車は最高です。右回りでいってください。ほぼ一周全てに海を真横に感じてさっそうと走れます。ちょっとした坂道がありますが、そこで物足りない方は是非潮見台まで170メートル登ってください。登山は体力ではなく精神力です。そういったストイックなものに少しでも興味があるならば、登頂後の景色は決して忘れられないものになるでしょう。(逆に脚力に自信がなかったりお子様連れであれば、少し危ないのでこのアクティビティは飛ばしてもいいかもです。)

シカシマサイクル


さて、このような素晴らしい経験をさせて頂いたワーケーション。今後これが日本のスタンダードになっていくにはどのような努力が必要でしょうか。下記の5つの側面で議論をしていく必要があります。

  1. 費用
  2. 企業経営
  3. 就業規則
  4. 行政
  5. 旅行業

1.費用

企業規模等にもよると思いますが、やはり半分バケーション出張の全額を福利厚生として提供するのは難しいのではないでしょうか。今回、そういう企画だったので社員とグループを組んで来ましたが、ワーケーションに関してはどちらかと言えば、家族と旅行を兼ねて行きたいという側面が強いと思います。家族と行く場合は、もちろん旅費は自費になると思いますが。そのような中で、家族と行ったリゾート地での勤務を勤務時間として認めるのかとう課題もでてくると思います。一方で、仮に福岡指定の場合は本人の出張費を出すという規定であった場合はどうでしょうか。それでも家族と行きたい社員はいると思いますが、果たしてそういった企画の費用を会社が持つモチベーションはあるでしょうか。働き方が変わっていると理解しつつも、社員を縛ってオフィスに閉じ込めて働かせるかという意識で経営をしている経営者からは、そのコストも、オフィスから開放することもあまり歓迎はされないはずです。

2.企業経営面

企業経営者として、そもそもこのワーケーションという取組が会社のプラスになるかという判断が入ると思います。有給取得率が非常に悪い日本の企業経営者にこの企画が響くかどうかという課題が残ります。ワーケーション中社員と話した中で、毎年の合宿が通常一泊二日の場合、一週間通常の仕事をしながらも合宿の課題をこなすというのもありではないかという意見もでてきました。確かにそうですし、それができるような環境に、社会ががコロナとテレワークで一気に進んだということも事実でしょう。ただ、やはり、ワーケーションとは企業経営にとって何かと言われれば、その答えに答えられる経営者は少ないはずです。もし、ひとつ可能性があるとすれば、今回福岡市の方に尽力頂いたような地元企業とのマッチングや、勉強会が開催されるのであれば、経営者としては大きなモチベーションになるのではないでしょうか。やってくる企業のビジネスを全て受け入れ自治体が理解してマッチングするのは難しいと思います。しかし、あるテーマの勉強会を複数コマ同時開催すれば、興味をもつ地元企業は必ずいらっしゃると思いますし、講師をする企業側も大きなモチベーションになるはずです。

3.就業規則面

先述の家族と行ったリゾートでの勤務を勤務とみなすのか、また、ワーケーション中の事故は労災とカウントされるのか等、特にコンプライアンスを強く意識する大企業には大きな課題が残ります。そもそもの出張規定で、出張中にレンターカー利用を禁止する企業が多い中、より総合的なリスクが高まるこの企画に折り合いがつくのかは疑問です。就業規則を変えようにも、どのように変えるのがいいのか、先行事例も少ない中躊躇する企業が多いと思います。企業団体としてどのように「ワーケーション」を標準化していくかという努力が求められるでしょう。

4.行政

有給の買い取り義務化といった永年の議論もある中、従業員のワークライフバランスを保つためにどういった政治ができるのかという視点で考えることも必要でしょう。全体の勤務拘束時間の何割は勤務地を問わないという規定を制度化するとか、そういった議論がされていくかもしれません。現在テレワーク自体の制度化に関して世界中で大きな議論がされています。完全リモートに振る企業、原則オフィス勤務に戻す企業の2つに真っ二つに別れているようです。一度テレワークの良さを知った従業員側が、勤務先を選ぶ基準に「勤務地」に制約があるかどうかで選ぶ時代がもう来ています。是非各政党も公約の一つにワーケーションの無理ない実現を入れていただきたいと思いますし、それが実現すれば働き方を自分が選べるという意味で、日本はより豊かな国になっていると思います。ちなみに私が赴任していたブラジルでは、企業側に年4週間の休暇提供が義務付けられています。2週間は必ず取得、2週間は従業員からの申請で買取も許可、という制度です。実際に4週間連続で休む従業員も相当数いました。4週間も!です。でも不思議なもので、「担当は休暇中」ですと言えば、自分も休暇は取るわけなのでそれで怒る人もいないし、企業が回らなくなることもありません。

5.旅行業

ワーケーションを企画する際に、私が決定的に足りていないと思うのは、旅行サイトにワーケーションパッケージ(4泊5日等)はあるけれども、宿泊する部屋かラウンジでの仕事がほとんどで、仕事する場所を選べないという点です。これはやはり辛いです。近所のコワーキングスペースとの提携、あるいは飛行機と宿のダイナミックパッケージで旅の自由さが広がったように、ワークスペースもダイナミックに選べる仕組みができれば、仕事が捗るという最も基本的な要素を保証するという意味で、ワーケーションというジャンル自体が大きく成長するはずです。また健康に気を使っている人としては地方でもジムのニーズはあります。ワークスペースに加えて、ジムもダイナミックにパッケージ化できて、共通QRで提携施設に出入り自由のような世界が必要だと感じます。


最後に確信的な事を言いましたが、我々ブロックチェーンロック株式会社としてこの観光庁のワーケーションの事業に応募したのは、我々がより分散化された世界を目指しているからであり、ワーケーションをする側にとり、何があれば選択肢に入るのか、何があればストレスが少なくなるのか、実際に経験して理解してみたいと思ったからです。その上で、我々、予約と決済、カギを扱うテクノロジーを提供している企業として、その分野のユーザー体験をよりよくするソリューションを提供できればと考えています。

コストや制度の課題は多々あります。テクノロジーで解決できることも、テクノロジーだけでは解決できないことも多々あります。しかし、テクノロジースタートアップをやっていて常に思うのは、本気でやった者だけが「長い道のりの最後に目的地にたどり着く」というシンプルな事実です。その気持ちで、遊びも100%、仕事も100%、ワーケーションもリモートワークも、オフィスでの仕事も100%。新たなエネルギーを頂いた観光庁、福岡市の皆様に感謝をしながら、今我々にできることを愚直に率先して実施していきたいと思います。企業経営者の方で、ワーケーションについて知りたいことがあればお気軽にDMください。


観光庁 新たな旅のスタイル事業

福岡観光コンベンションビューロー

第二回ワーケーション動画

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